不妊専門鍼灸院 銀のすずは
自然妊娠から体外受精までの方を専門でサポートしています。

みなさん、マグネシウムという名前は聞いたことありますよね!
でも、どんな働きをしているのかはあまり知られていません。
私たちが日々生きていくために実はとっても重要な存在なんです。
今回はそんな "縁の下の力持ち" マグネシウムについてお伝えします。

マグネシウムは、人体の機能が正常に働くために必要なミネラル(無機質)のひとつです。
体内に含まれるミネラルには、必要量が微量のミクロミネラルと、1日に100mg以上必要なマクロミネラルの2つがあり、マグネシウムはマクロミネラルに分類されます。
マクロミネラルには他に、ナトリウム・カリウム・塩素・カルシウム・リンがあります。

マグネシウムは多くの食物の中に自然に存在する他、胃酸の分泌を抑える制酸剤や便秘薬などにも含まれます。
食品として摂取したマグネシウムの吸収は主に小腸で行われ腎臓で排泄されます。
腸管での吸収はビタミンDによって促進され、カルシウムやリンによって抑制されます。

マグネシウムは細胞内に多く含まれ、非常にたくさんの体の仕組みを影からサポートしています。
その体の仕組みというのはずばり、エネルギー産生やタンパク質合成、筋肉の収縮弛緩や神経の興奮抑制、ホルモン分泌、血糖や血圧の調整など、人が生きる上で不可欠の体内における様々な生化学反応のことですが、マグネシウムはこうした生化学反応をコントロールする300種類以上の酵素の補因子として働きます。

酵素と言うと唾液に含まれるアミラーゼや膵臓で作られるリパーゼなどの消化酵素が有名ですね。
他にも酸化酵素、エネルギー代謝酵素など非常に多くの種類がありますが、酵素補因子とはこうした酵素を活性化させ機能を果たすよう指示する物質です。
酵素は体の働きをサポートするもの。
その酵素をさらにサポートするのが酵素補因子です。
このように非常にたくさんの仕組みをサポートするマグネシウムですが、中でもエネルギー代謝に大きく関わります。
ブドウ糖をエネルギーに変化させる過程で重要な役割を持つ酵素をいくつも活性化させ、これによりヒトはエネルギーを生み出すことができるのです。
また遺伝情報の発現にも関与する他、血小板の凝集を抑え、血栓を作りにくくする作用もあります。
マグネシウムは、皮膚のバリア機能を司るセラミド合成に重要であるということや抗動脈硬化作用があるということから『アンチエイジングミネラル』とも呼ばれています。
アンチエイジングは妊活する上でも重要なテーマですね。

ここで、マグネシウムの働きをまとめてみましょう。
●働き
心筋を含む筋肉の働きを正常に保つ
→カルシウムの働きで収縮した筋肉を弛緩させる、不足すると筋肉の痙攣を引き起こす
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血圧を適正に維持する
→血管の弛緩により血圧低下に働く
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血糖の調節
→膵臓β細胞からのインスリン分泌に必要不可欠、骨格筋表面のインスリン受容体にインスリンが結合しやすくなるよう働き、糖分を筋肉に取り込み効率良くエネルギー源として使えるようにする、
マグネシウムが不足するとインスリン抵抗性が引き起こされ、結果として腎尿細管での再吸収が阻害されさらにマグネシウム不足が進む悪循環となる
マグネシウム、血圧、妊活

カリウム・ナトリウムバランスの維持
→この2つのバランスが心臓や消化機能、生殖機能、発育に重要であり、カリウム・ナトリウム量の調節に働く酵素にはマグネシウムが不可欠
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ホルモン産生に関与
→様々なホルモン分泌に酵素浦因子として関わる
、副腎の活性化を抑制し、コルチゾルやアドレナリンなどのストレスホルモン分泌を抑えるなど

タンパク質・炭水化物・脂質の消化を助ける
→糖質や脂質の代謝を促進する働きをサポート
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精神を安定に保つ
→セロトニンなどの神経伝達物質の前駆体として働く
セロトニン分泌の低下はうつ症状にも大きく関わる

骨の構成成分となる
→骨格系の発達を助ける
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エネルギー産生
→糖と脂肪を燃やしてエネルギーに変える(ATPを活性化)
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遺伝子の発現に関与
→遺伝情報の設計図であるDNAやRNAの合成に必要
※DNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼの活動にはマグネシウムが必須なため受精卵などの染色体にも欠かせない

カルシウムやカリウムの細胞膜通過時に能動輸送を担う
→神経伝導や筋収縮、正常な心調律に重要

抗酸化作用
→抗酸化物質グルタチオンの合成に必要
などなどなど。。。


これらはほんの一例で、まだまだたくさんのことをサポートしています。
みなさん、お気づきでしょうか。マグネシウムの働きはほとんどが脇役!!
これこそが"縁の下の力持ち"とご紹介したわけです。
さらに、こうした働きは主にカルシウムと拮抗して行われます。
例えば、カルシウムの働きで収縮した筋肉をマグネシウムの働きで緩めたり、
カルシウムの働きで固まった血液をマグネシウムの働きで溶かしたりといった具合に、両者は相反する働きを司っているのです。
どちらかだけではいけません。

●人体構成
成人では体内に約25gのマグネシウムが含まれ、マクロミネラルとしてはカルシウム、カリウム、ナトリウムに次いで4番目に豊富です。
細胞内ではカリウムに次に豊富。
体重1kgあたりおよそ0.5g含まれます。
普段は主に骨の表面近くにマグネシウムイオンとして保存されていますが、不足するとカルシウムイオンと置き換わり、マグネシウムが体内に補充され、代謝のサポートにまわります。
体内では主にマグネシウムイオンもしくは化合物として存在し、以下のように分布しています。

50から60%:骨(リン酸マグネシウムや炭酸マグネシウムとして封入)
40%   :筋肉や脳、神経
1%未満 :細胞外液(血清+間質液)

このように、体内にあるマグネシウムのほとんどが骨や筋肉、神経に存在するため、検査によるマグネシウム量の評価は困難です。
血液検査で分かるのはほんの1%に過ぎません。
※血清マグネシウム濃度:0.75から1.07mmol/L
マグネシウム濃度は主に腎臓でコントロールされ、通常1日に約120mg尿中に排泄されます。
経口摂取の場合、過剰量については腸管からの吸収が抑制されて速やかに尿から排泄されるため過剰症が起きることはまれです。
過剰症の代表は下痢です。

血漿中マグネシウムの65%はフリーのマグネシウムイオン(Mg2+)として、
約15%は炭酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸と結合した状態、約20%はタンパク質と結合した状態で存在する。

●成人の1日あたりの推奨栄養所要量
一般的には以下の1日所要量が挙げられます。
男性 400から420mg
女性 310から360mg(妊娠中は+40から50mg)
体重に基づくべきという専門家も多く、体重1kgあたり6mgを目安として摂取するべきとも言われています(小児の場合は5mg/1kg)。
また、その働きの多岐にわたることなどから1日600から900mg摂るのが理想だとも言われています。
過去の食事調査によると、日本人成人のマグネシウム摂取量は150から300mgという結果となっており、大半において慢性的な不足が考えられます。
健康な人のマグネシウム吸収率は約30から40%とされているので、サプリメントなどでは表記の含有量と照らし合わせて摂ると良いでしょう。
腎機能が健康であれば、マグネシウムの摂取量を少しずつ増やしてみて下痢が起こるところを適正量とする考え方もあります。
投薬を受けている場合には医師に確認しましょう。
妊娠中は非妊娠時に比べマグネシウムの必要量も増え、妊娠中のマグネシウム欠乏は子癇前症、早産、胎児の成長遅延と関連すると言われています。
ぜひ妊娠前から摂りたいところですね!

●欠乏症
マグネシウムが足りなくなると、以下のような症状が引き起こされます。

疲労感・吐き気・不整脈・動悸・偏頭痛・筋緊張低下・筋痙攣・ADHD・パニック障害・喘息・血栓・動脈硬化・腸疾患・膀胱炎・うつ・糖尿病・心臓病・高血圧・低血糖・不眠症・腎臓病・肝臓病・神経疾患・PMS・不妊・子癇前症・骨粗しょう症・虫歯など。。

たくさんの働きをサポートしているだけあって、何から何まで不調になっちゃうんですね。
また、マグネシウム不足が進行することで人格変化が起こる恐れもあります。人が変わってしまうとは!マグネシウム侮るなかれです。

●過剰症
下痢、吐き気、嘔吐、低血圧
通常の食事では過剰分は尿中に排泄されるため起こりませんが、腎臓病がある場合やマグネシウム注射を用いた場合などでは高マグネシウム血症となります。

●おすすめ
高血圧・心疾患・糖尿病・骨粗鬆症・腎結石予防などとして勧められます。
マグネシウム濃度低下の原因となる次のような方は積極的に摂りましょう。
・アルコール、カフェイン、ジュースの摂取が多い
・老化(高年齢化による吸収率減少や、吸収を妨げうる薬の服用が増えるため)
・利尿剤、抗生物質、副腎皮質ホルモン剤、制酸剤、インスリンなどの服用
・消化器系の不調がある

●多く含む食品
海藻類・緑葉野菜・魚介類・種実・穀物に多く含まれています。
海の中には塩化マグネシウムがあり、そこで生きる海藻にたくさん含まれます。
緑色の葉っぱに含まれるクロロフィルという色素は光合成に重要な物質ですが、
その構造の中心にマグネシウムがあるため、必然的にマグネシウム含有量が多くなっています。葉っぱではありませんがアボカドもおすすめです(1つに約58g)。
お茶やコーヒーの葉や豆にはマグネシウムが多く含まれますが、浸出液(飲み物の状態)には少なくなってしまいます。
無糖のココアパウダーには豊富に含まれるので飲み物で摂りたい場合はココアですね。
最近話題のカカオニブにも豊富です。
大量に食べないといけませんが。。。
マグネシウムは土壌から吸収され野菜に含まれますが、現代の野菜だけでは不十分と言われています。
土壌の栄養が昔よりも少なくなっている他、除草剤によるキレート作用により人体内への吸収が阻害され昔の野菜に比べて半分以下の摂取量しか期待できないそうです。
やはり、現代では食べ物だけで全ての栄養を賄うのは難しいのですね。
こうなったら文明の利器、サプリメントの出番です。

●サプリメント
ここまででもマグネシウムがどれだけ多くの働きを担っていて、いかに大切かということがお分かりいただけたかと思います。
しかし、現代人はマグネシウム不足であることがほとんどであり、研究者たちは無症状の欠乏状態に警鐘を鳴らしています。
それもそのはず。みなさんにも見ていただいた通り、あんなにたくさんの働きをしているのだから、足りないなんて良くないですよね。補いましょう。

マグネシウムは単体では存在することができないため、別の物質と結合してマグネシウム化合物という形でサプリメントになっています。
酸化マグネシウムは便秘に対する処方薬として有名ですね。
しかし、マグネシウムの摂取を目的とするなら不適当です。
酸化マグネシウムとして摂取したマグネシウムの吸収率はわずか4%と低く、大半が小腸を通過して排泄されてしまいます。
このことが便通の改善に役立つ理由なのですが、マグネシウムを吸収したいとなると別のものが良さそうですね。
グリシン酸マグネシウムやアスパラギン酸マグネシウム、タウリン酸マグネシウム、クエン酸マグネシウムやリンゴ酸マグネシウムなどは経口摂取での吸収率が比較的高いと言われています。
新しい型のトレオン酸マグネシウムは、ミトコンドリアを含む細胞膜や血液脳関門への透過性が高く、吸収率が最も高いと考えられ、注目されています。
注意したいものとしては、ステアリン酸マグネシウムを含む商品です。これは危険性の高い添加物として知られています。

マグネシウムを摂取するにあたり、重要なのはカルシウムとの比率が1:1になるようにすることです。
お伝えしたようにこの二つは拮抗する働きがあり、どちらかが多くてもいけません。
よくあるのが、カルシウムは摂っているけどマグネシウムは摂っていないという例です。
カルシウムの働きばかり強めてしまうと、筋肉が収縮したは良いもののマグネシウム不足のためにうまく弛緩できなくなってしまいます。
脚がつる原因にもなります。
また、カルシウムやマグネシウムの吸収に関わるビタミンDやビタミンKについても同様に考えなくてはいけません。
人間の体は複雑で、全てが関わり合っているので一つだけ摂ればOKというものがないんです。すごいことですよね。

●妊活・妊娠との関係
マグネシウムは人体のあらゆる機能をサポートする役割として必要不可欠、ということはもうお分かりいただけましたね。
こうなると、これまた複雑な仕組みで成立する妊娠についても多大な影響を与えていることが予想できますよね。
妊娠にはホルモンの分泌が密接に関わっていることはみなさんご存知の通りです。
そのとても重要なホルモン分泌にもマグネシウムが関与しています。
不妊治療ではホルモン剤を多く用いますが、これらの影響によりマグネシウム欠乏が引き起こされることがあります。
特にプレドニンなどの副腎皮質ホルモンは使用頻度も高いため、服用している場合はマグネシウムを摂るよう心がけましょう。
また、妊活の敵:ストレスに対抗するホルモン分泌にも関わっています。
ストレスが強いと、副腎から女性ホルモンを出すべきところを抗ストレスホルモンが分泌されてしまいますが、マグネシウムは副腎の働きを抑制してくれます。
まぁ落ち着け副腎さん、という感じに。

妊娠初期、女性の体には胎児を育てるためのダイナミックな変化が起こります。
この時にもマグネシウムは大切です。
もちろん、カルシウムとともに胎児の骨や歯の形成に必要不可欠ということは言うまでもありません。
母体に起こる変化の多くは胎盤から分泌されるホルモンの働きによって引き起こされます。
細胞内マグネシウム量の増加もその一つです。
この結果、高カルシウム血症となってつわりの原因となるという説もありますが、今は置いておきます。

マグネシウムが細胞内に大量に取り込まれることで血液中のマグネシウム濃度は低下します。
これによりインスリン感受性が増し、食後の血糖値が上がりやすくなります。
これはお腹の中の赤ちゃんに栄養をスムーズに届けるためのシステムなのですが、そうは言っても高すぎると困るのが血糖値です。
だいたい妊娠20週前後の妊婦検診で糖負荷試験を行い、基準を超えると妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠中に使われる薬の中にもマグネシウムが含まれるものがあります。
有名なものは酸化マグネシウムです。
妊娠中はホルモンの影響などで便秘になることが多く、妊娠中でも服用可能な便秘薬として用いられます。
また、硫酸マグネシウムは子宮収縮抑制作用があるため切迫早産の治療薬として用いられます。


マグネシウムはとにかくたくさんの体の仕組みをサポートしている名脇役だということがお分かりいただけましたでしょうか。
妊活にももちろん重要です。
最後にもう一度、栄養素は1つだけを摂るのではなく、必要な量とバランスが大切。
意識して摂ってみましょう。

何かございましたらご質問ください。
銀のすず